当たり前ですが、このように年齢が 若くして住宅ローンをスタートする程、60歳・65歳時点での住宅ローン借入 残高は少なくなります。どの年代でも大方の方は、できれば繰り上げ返済を進めて、定年までに住 宅ローンは終えたいというのが希望だ と思います。しかし、お子様の教育資 金、不況による収入の減少、転職やリストラ、想定を超える支出など、未来のことは不明確なことだらけです。定年退職金で繰り上げ返済をすることも考えられますが、そもそも定年退職 金がいくらもらえるのか、また、年金があてにしづらい老後のことを考えると、現実的にはなかなかできないかも知れません。
皆さん「リバース・モーゲージ」という 金融商品はご存知でしょうか?リバー ス・モーゲージは、不動産を担保に老 後資金を調達する有効な手段のひと つです。不動産は売却しなければ換金 できないものですが、リバース・モー ゲージであれば、自宅を担保に金融機 関から老後資金を調達できます。売却 をする訳ではないので、生涯住み慣れ たご自宅に住み続けることができ、か つ、老後資金も調達できるのです。リバース・モーゲージで調達した老後資 金は、ご夫妻がお亡くなりになった後 にその自宅を売却して充てるという仕 組みです。このように、定年までに住 宅ローンの返済を終えている方であれば、住宅を担保に不足する老後資金を調達できるのですが、定年時にまだ住 宅ローン返済中の方がこれを利用した 場合、住宅ローンの一括繰り上げ返済 をすることもできるのです。先程の表に戻りますが、40歳で住 宅ローンを開始した方が繰り上げ返 済を一切せずに65歳の定年を迎えたとすると、表の前提条件通りであれば、1,079万円の住宅ローン残高が残っているはずです。
毎月の住宅ローンは92,801円です。これを65歳以降も年金から捻出する となると、かなり重たいと思います。建物の価値は0円として、土地の価 値は将来も持続したと考えます。例えば、4,200万円の建売り住宅を購入し、3,500万円の住宅ローンを組んだ場 合の試算ですと、ざっと土地の価値は 3,000万円です。土地にこれだけの価 値があれば、充分にリバース・モーゲー ジを利用できるでしょうから、これで 1,079万円の資金を調達して住宅ロー ンを一括で繰り上げ返済をしてしまい ます。すると、1,079万円の利息のみ の支払いに変わりますので、リバース・モーゲージの金利がもし3%であれば、毎月の利払いは27,493円になるのです。これであれば、年金から捻出することもできるのではないのでしょうか。
残念ではありますが、リバース・モー ゲージは土地の資産に重点を置く仕組 みですから、マンション所有の方には概 して不利であると言えます。マンションの 場合は利用できないというところがほと んどです。このように、あくまで老後資金 にスポットを当てて考えてみると一戸建て住宅の方に軍配があがりそうですね。住宅を買ったはいいけれど、繰り上げ返済を頑張り過ぎて、家族旅行もできず、好きな物も買えないというのは、少し寂し い気もします。ここは少し発想を変えて、繰り上げ返済を頑張り過ぎないことも豊 かな人生を送る考え方のひとつだと思い ますが、皆さんはいかがでしょうか?