有効活用が難しければ早めの売却も検討
自宅を持ちながらも、相続によって別途、住宅用不動産を所有することになった50代の夫婦を想定します。子供は独立して生計を別にしており、すぐに近親者が利用する予定はない。固定資産税の負担もあるため、何等かの有効活用を検討したいといったケース。
中古住宅が市場に多く存在しているいま、特に郊外であれば収益を期待できる物件は少数です。そのうえで、収益面での有効活用が難しいと判断するのであれば、早めの売却を検討したほうが良いとアドバイスいたします。
全国の住宅の約7戸に1戸は空き家という問題を政府も深刻に受け止め、売却した際の譲渡所得から3,000万円を差し引ける特別控除や、解体やリフォームを促す施策を打ち出しています。なお、特別控除が適用されるには、相続のときから譲渡のときまで事業や貸付、居住の用に供されていないこと等が条件になります。住まいは1年空き家になるだけで、劣化が進み、エリアによっては値下がりし続ける可能性もあるため、判断を先送りにすることも1つリスクとなります。
シェアハウスや民泊での活用も慎重に
相続では、アパートの相続に関する話が多く寄せられます。思った以上に手間やお金がかかるため、相続しても安易に喜べないといった感想を抱える方も目立ちます。アパートへの建て替えなど、本気で有効に活用したいのであれば、それなりに戦略を立てた運用が前提です。
世間ではシェアハウスが話題ですが、数年前と比べれば対象物件は増え、設備や内装、エクステリアなど他と違う魅力を強く打ち出さないと入居者そのものが集まりません。新法で注目される民泊も近隣の理解を得ることが大前提で、自宅もしくは隣接した場所での運用でないと、トラブルを引き起こしがちです。民泊大手の米Airbnb(エアビアンドビー)も、ホストとゲストが対面する「おもてなし」をシステムに組み込んでいる。法的には家主不在型の民泊は認められているが、資産運用となるとコンセプトから乖離してしまうため、慎重さが必要です。
資産運用ではなく、自分たちのセカンドハウスや老後の住まいとして有効活用するという考え方もできます。その際、夫婦でのメンテナンスが現状では難しいのであれば、親族以外の友人や知人に広く声をかけ、一定期間、固定資産税分程度の負担で貸し出すことも、意外と現実的なのではないでしょうか。
アドバイスのポイント
1.収益性が期待できるような相続物件は少数
2.売却の判断を先送りするのも1つのリスク
3.民泊での活用は近隣の理解を得ることが前提
4.自分たちのセカンドハウスや老後の住まいとしての活用も