不動産売却前には査定依頼が必要になります。
査定時の評価手法にはいくつかの方法があり、どの方法による査定であるのかを知っておくことは重要です。
ここでは、査定時における評価鑑定の方法である、取引事例比較法、収益還元法、原価法について解説していきます。
不動産売却をご検討中の方は、ぜひご確認ください。
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弊社へのお問い合わせはこちら不動産売却における査定方法①取引事例比較法
まず、査定方法の1つに取引事例比較法があります。
取引事例比較法はどのような査定方法であるのか確認してみましょう。
取引事例比較法とは
まず、取引事例比較法は名称からわかるとおり、過去の取引事例と比較をすることで査定額を算出する方法です。
過去の取引事例には、売却する不動産と条件が近いものを選びます。
取引事例比較法で考慮する条件はさまざまなものがありますが、地域性や周辺の住環境、築年数などを考慮します。
また、何らかの理由で売り急いだ(売却額を大きく下げている)不動産や投資用不動産などは除き、居住用不動産の一般的な売却のみ評点比較をおこないます。
さらに、過去の事例において売却事情の補正や時点補正もおこない、売却する不動産の条件に近づけることも多いです。
このように、取引事例比較法は過去の取引事例から査定をおこなうものであると認識しておきましょう。
取引事例比較法の計算式
取引事例比較法によって求められた査定額は比準価格と呼ばれ、以下のように計算されます。
比準価格=取引事例価格×事情補正×時点補正×標準化補正×住環境要因比較×個別要因比較
まず、取引事例価格は過去の取引価格になります。
また、事情補正や時点補正は売却する不動産と条件を近づけるためにおこなう補正です。
とくに、不動産の需要・価値は常に変動しているため、時点修正は金利や取引数などを考慮することが重要になります。
住環境要因比較は周辺の交通状況や自然環境などを考慮する項目であり、過去の事例とこれらが異なっている場合は計算に入れることが必要です。
個別要因比較は不動産の敷地面積や日当たり、築年数など不動産それぞれで考慮する項目になります。
このように取引事例比較法の計算式にある各項目は専門家でないと算出がなかなか難しいものです。
信頼できる不動産会社へ査定依頼をおこない、専門家に算出を任せていきましょう。
取引事例比較法の注意点
取引事例比較法は鑑定士の感覚的な判断が入るものです。
ですので、取引事例比較法は評価する鑑定士によって査定額に多少の差異が生じます。
また、売却する不動産によっては過去事例に似たようなものがないかもしれません。
しかし、取引事例比較法は日本の不動産業界ではもっとも主流な方法です。
過去の取引事例において条件が似ているものがあれば、こちらの方法を基本的には用いていくことも覚えておきましょう。
不動産売却における査定方法②収益還元法
収益還元法は、不動産が賃貸物件や店舗・事務所である場合に用いられることが多い査定方法です。
不動産が賃貸物件や店舗・事務所である場合は、収益還元法の内容を確認していきましょう。
収益還元法とは
収益還元法とは不動産が将来的にどのぐらいの収益を生み出しそうか(年間予想純利益)を算出し、その算出額の現在価値の総和から収益価格を求める査定方法です。
年間予想純利益は今までの運用歴などから判断するため、不動産が賃貸物件や店舗・事務所の場合は取引事例比較法よりも高い精度が得られます。
さらに、収益還元法は「直接還元法」と「DCF法」に分けられます。
直接還元法とDCF法の概要は以下のとおりです。
●直接還元法:一定期間の年間予想純利益を還元利回りで割ることで収益価格を算出する
●DCF法:複数期間のそれぞれの純利益を対応する割引率で割引いた現在価値を足し合わせて収益価格を算出する
直接還元法は計算が比較的簡単ですが、精度はDCF法のほうが高いと言われています。
しかし、DCF法は将来の収益予測や適切な割引率の設定が必要であることから、不動産や売却目的それぞれによって使い分けることが重要です。
収益還元法の計算方法
収益還元法である直接還元法とDCF法の計算式は以下のとおりです。
●直接還元法:査定額=年間予想純利益÷対応する還元利回り
●DCF法:査定額=毎期得られる純利益の現在価値の合計値(回収可能期間内)+将来の不動産価値
たとえば、1年間の純利益が500万円、対応する還元利回りが5%と仮定したとき、直接還元法では以下のように計算されます。
査定額=500÷0.005=10,000万円
また、1年間の純利益が500万円、保有期間が3年、割引率が3%、将来の売却価格の予想が5,000万円であるとき、DCF法では以下のように計算されます。
●1年目:500万円÷(1+0.05)≒470万円
●2年目:500万円÷{(1+0.05)×(1+0.05)}≒450万円
●3年目:500万円÷{(1+0.05)×(1+0.05)×(1+0.05)}≒430万円
●将来の不動産価値:5,000万円÷{1+0.05)×(1+0.05)×(1+0.05)}≒4,320万円
●査定額=470万円+450万円+430万円+4,320万円≒5,600万円
ここからわかるとおり、DCF法による計算は複雑な代わりに精度が高いものとなっています。
収益還元法の注意点
収益還元法では過去の運用情報が計算式に含まれています。
ですので、過去の運用情報の信頼性が高くなければ正しい査定額を出すことができません。
また、収益還元法では収益面が考慮されているため居住用不動産ではなく、賃貸物件や店舗・事務所に多く用いられていることも覚えておきましょう。
不動産売却における査定方法③原価法
不動産売却において一戸建てを売却したいと考えている方も多いかと思います。
最後に、一戸建ての査定方法で用いられる原価法について確認していきましょう。
原価法とは
原価法とは、不動産を新築で建て直す場合にかかる費用(再調達原価)から減価修正をおこなう査定方法です。
減価修正は築年数を考慮し、適した値を引いていくことが一般的になっています。
しかし、築年数の分だけ引くだけでなく、リフォームや管理方法なども考慮に入れることが多いです。
不動産が土地やマンションである場合も用いることはできますが、新築時の価値が求めやすい一戸建てでよく用いられます。
原価法の計算方法
原価法の計算式は以下のとおりです。
査定額(不動産部分のみ)=総面積×面積単価×残存年数÷耐用年数
上式の残存年数は「耐用年数-築年数」で計算されます。
耐用年数は物件構造によって異なり、それぞれの値は以下のとおりです。
●木造・モルタル造:22年
●鉄骨造(厚さ3mm以下):19年
●鉄骨造(厚さ3mm超え4mm以下):27年
●鉄骨造(厚さ4mm超え):34年
●RC造:47年
原価法は計算がシンプルであり、自分で大まかな概算をおこなうことも可能です。
売却する不動産が一戸建ての場合は一度自分で計算をおこなってみましょう。
原価法の注意点
原価法は上式の計算式にくわえ、場合によっては規模補正率、駐車場補正率、建物グレード補正率がかかる場合があることも知っておかなければなりません。
それぞれの補正内容は以下のとおりです。
●規模補正率:不動産が大きいほど需要が高まるため、1以上の補正率をかける
●駐車場補正率:駐車可能台数が大きいほど需要が高まるため、1以上の補正率をかける
●建物グレード補正率:高グレードの住宅メーカが施工している場合は需要が高まるため、1以上の補正率をかける
これら補正率はかけられないこともありますが、補正率があることは認識しておきましょう。
また、再調達原価は建物部分だけでなく土地の再取得費が加算されることもご認識ください。
まとめ
本記事では、取引事例比較法、収益還元法、原価法の3つの査定方法について解説しました。
基本的には不動産会社が適した方法を選定・算出を進めていきますが、それぞれの内容は知っておきましょう。
もし、査定方法について不明な点があれば弊社へご相談ください。
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