新築の一戸建ての購入を考えた場合、どのような家にするのかさまざまなことを考える必要があります。
その際、断熱性能も重要となりますが、何を基準にどのように決めたら良いかがよくわからないのではないでしょうか。
今回は、住宅における建物の断熱性について、等級の解説からさまざまな基準について、詳しくご紹介していきますので、ぜひ新築物件の購入の参考にしてみてください。
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まず、新しく家を建てることを考えたとき、土地を購入して、間取りや構造についてなどいろいろなことを決める必要があります。
その際、冬は暖かく夏は涼しいといった物件の耐熱性能も重要となります。
ただ、断熱性とはそもそもどのような基準で決まるのかわからないというケースがほとんどだと思います。
まずは断熱性を表す等級にはどのようなものがあるのかご紹介します。
まず前提として、その家の断熱性を表すには断熱性能等級と言って全部で5段階の値によって定められています。
この等級ですが、以前は1から4までの4段階だったものが、2022年4月から等級5が新設されて5段階となりました。
そもそも、この等級は通称「品確法」と呼ばれる住宅の品質確保の促進等に関する法律で定められています。
この法律によって年々追加されている等級は、等級1が無断熱、等級2が昭和55年に制定されたレベルの断熱性で、等級3が平成4年、等級4が平成11年の基準となりました。
現在の住居のほとんどが等級4の設備を備えていることになります。
数字で1から4までの基準と説明されても具体的にその等級がどのくらいの効果をもたらすのかよくわからないという方も多いと思います。
まず、この等級を導き出すためには、UA値と呼ばれる外皮平均熱貫流率が用いられますが、この率は「外皮総熱損失量÷総外皮面積」で求められます。
簡単に説明すると、この計算式によって外皮とされる壁や屋根からどれくらいの量の熱が家の中から失われるているのかを知ることができます。
このUA値と、全国に区分された地域の基準値を比べて導き出されたのが等級の数字になります。
この等級によって、建物に用いられる規定の素材の厚さなどが異なりますが、等級4の場合には高性能グラスウールを壁と天井の両方に90mmが必要とされています。
しかし、最新の等級5の場合には天井と壁に105mm必要となりますので、厚みが異なることで熱を抑える量に大きく影響するということがわかります。
2022年4月の法律改定前まで最高等級とされていた4ですが、これは等級1に比べると必要な冷暖房がかなり抑えられますので、60%のエネルギーを抑えることができます。
今では最低限の基準をクリアしたレベルとして考えられるようになった等級4ですが、住宅においては十分機能を発揮するものです。
そのため、新築で住宅の購入を考える際には、少なくとも等級4の断熱を備えておくと良いでしょう。
また、建築物省エネ法の改正により、建物を建設する建築士は、必ずその建物がどれくらいの等級を持つのか依頼主に告知する義務ができました。
建築士が自分の建設した建物の断熱性についてきちんと把握したうえでご説明ができるようにすることで、より省エネ化に向けた動きが強まっていると考えられます。
建物の断熱性能を示すZEH基準について
次に、断熱性を表す基準として、先ほどご紹介した等級の他に、それらの基準値をさらに上回る高性能のZEH基準というものがありますので、ここからはこの基準値について詳しくご紹介していきます。
まず、ZEHとは「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」の略で、住宅の断熱性をより強化することで冷暖房などの空調設備の使用をできる限り控え、エネルギーを削減することを促進する取り組みのことを指します。
また、この基準は、ただ使用するエネルギーを削減するだけではなく、太陽光発電などの自家発電をおこなうことでそのその世帯で使用するエネルギーをすべて賄います。
そのため、トータルでみたときのエネルギーにかかる費用の収支をプラスマイナス0で循環することを目的としています。
この基準は政府の掲げる脱炭素化の社会を促進するための試みとして普及していて、ただ単に住宅の設備を整えるだけではなく、再生可能エネルギーを取り入れることでより地球にやさしいエネルギー消費を促しています。
ZEH基準の住宅として認定されるには以下の4つの条件が義務化される必要があります。
●定められた強化外皮基準
●20%以上の基準一次エネルギーの消費量を削減すること
●再生可能エネルギーを導入すること
●基準一次エネルギー消費量から100%のエネルギー削減をすること
これらの基準を満たすとさらに上のZEH+という基準を設けた住宅もあります。
建物の断熱性能を示すHEAT20について
等級、ZEHについてそれぞれご紹介してきましたが、建物の断熱性を測る基準には実はもう1種類、HEAT20と呼ばれるものがあります。
まず、HEAT20というものは、英語名で「Investigation committee of Hyper Enhanced insulation and Advanced Technique for 2020 houses」の頭文字をとった団体名のことです。
日本名では「2020年を見据えた住宅の高断熱化技術開発委員会」と呼ばれています。
名前のとおり、2020年を見据えて環境問題についての取り組みなどのために発足され、高断熱の基準を提案する専門家の方々が集まっています。
この基準では、これまでにご紹介してきた外皮基準などの計算方法とは異なり、人々がその建物の中にいる時に感じる体感温度を軸に段階を設定していて、その段階はグレードと呼ばれ、G1、G2、G3の3段階に分けられています。
具体的には、冬の間における住宅の中での体感温度が10度から15度の間でおさまるようにしています。
そして、G1は10度、G2は13度、G3は15度を下回ることがないよう設定されているため、どれだけ寒い冬の日でも、外よりははるかに暖かい環境を提供することができます。
この高断熱の性能により、HEAT20を採用した建物は、そうではない建物に比べて冬の間に使用する暖房のエネルギーを約30%削減することに成功しています。
HEAT20では、高気密な素材を使用することでこの高いレベルを保つことができますが、日本の建築技術だと実現が難しい部分も多く、他の基準に比べると建設するのに多くの費用がかかってしまうこともあります。
寒冷な土地の環境でもしのぐことのできる高性能な基準ですが、一般的な建売住宅には対応していないことも多いため、実際にこの基準で家を建てたいと思ってもなかなか難しいのが現実です。
本来であればこの基準で家を建てるのが一番理想的ですが、まだまだ浸透していないものでもありますので、あくまでも高性能の基準の一つとして覚えておくと良いでしょう。
まとめ
新築の住宅を建てるにあたって考えるべき断熱性について、さまざまな基準に基づいてご紹介してきました。
実際にどの等級で家を建てるのかは、予算や希望するレベル次第で変えることができますが、長く住むことになるものだからこそ慎重に選び、また自分だけでなく環境のことも配慮した社会づくりに貢献できるよう考えましょう。
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