ーマンションにするか一戸建てにするか、お悩みの方必見ー
季節は春。お住まい探しには恰好の季節到来です。消費税増税前にマイホームを! とお考えの方も多いのではないのでしょうか。今回は、4,000万円の予算で新築マンションと新築一戸建て住宅がどのようなものが買えるのか、また、ランニングコストや資産形成といった〝お金〟の面にスポットを当てた比較をお伝えいたします。
はじめに
まず、あらかじめ申し上げておきたいことなのですが、マンションと一戸建て住宅、どちらが絶対的に優れているということではありません。どちらもそれぞれ 利点がありますので、最終的には選ぶ方の〝価値観〟だと思います。そのことを踏まえてお読みいただければ幸いです。また、双方を比較するエリアとして、横浜市の代表的エリア戸塚区といたします。比較に関しては、 極力一般的に起こり得る事象として取り上げて参りますので、戸塚区以外の川崎市や横浜市、東京城南地区でお探しの方にも参考になろうかと思います。
価格4,000万円の物件
それでは、今(2019年2月4日現在) 市場で販売されている概ね4,000万 円の新築マンションと一戸建て住宅 を比較すると以下の表の通りとなります。尚、比較対象はあくまで溝口駅までの距離と価格で抽出しましたので、 それ以外の個別の条件はご容赦いただきたいと思います。溝口駅にアクセスする物件ですと、新築マンションも 新築一戸建て住宅も駅までの距離はさほど変わらない印象です。 しかしながら、マンションの場合、管理費・修繕積立金・駐車場代といった 毎月のランニングコスト負担が大き くなります。表に記載のマンションの 場合、管理費・修繕積立金に駐車場1台・駐輪場1台の負担を含めた毎月のコストは31,125円となります。もちろん、一戸建て住宅も修繕費用が0円という訳ではありませんので、10年に1 回外壁の塗り替えが必要となると仮 定し、そのコストが約75万円とすると、 修繕積立金として毎月6,250円が必 要という計算となります。すると、結果としてはマンションの方が31,125円-6,250円=24,875円分毎月のコス ト負担が大きくなる計算になります。 毎月のランニングコストは、住宅ローンと違い不動産を所有している限り終わることなく支払いが続くものです ので、実際にはローンの返済よりも家計に占める負担は重いものになります が、仮に24,875円 /月を住宅ローンの返済額に置き換えた場合、いくらの借り入れに相当するのか計算すると 以下の通りとなります。元金960万円→24,920円/月(≒ 24,875円)
*変動金利型住宅ローン・借入期間35年・借 入金利0.5%(金利優遇-1.975%)の場合
このように24,875円の毎月の負担 は、960万円の借り入れに対する返済 額と概ね同額となります。少し乱暴な言い方をすれば、前述の 前提条件で購入すると仮定した場合、4,040万円のマンション購入は、960万円程価格が高い5,000万円前後の 一戸建て住宅を購入した場合のそれ とさほど変わらないことになります。(新築一戸建て:5,000万円≒新築マンション:4,040万円) もし、新築一戸建てで5,000万円の 予算ともなれば、以下の表に記載の新 築2階建て住宅あたりがターゲットに入ってくることになるのです。
資産としての不動産
マイホームの購入をお考えの方の 多くは、ご家族が住むための〝物〟とし てお考えのことでしょう。もちろん、その通りです。しかし、不動産は耐久消 費財とは異なり、資産を形成している ということを忘れてはいけません。例 えば30代の方など、老後を迎えた場 合の年金に不安を持たれている方も多いのではないのでしょうか。そこで、老後資金の手当てとして、 銀行商品のひとつである〝リバース・ モーゲージ〟をご利用いただくことも 選択肢のひとつだと思います。簡潔 にご説明させていただきますが、リバース・モーゲージとは、自宅を担保に老後資金を銀行から借り入れるも のです。元金の返済はなく、毎月利息のみを支払います。元金の返済は?というと、ご夫妻がお亡くなりになった 後、自宅を売却して返済することになります。その間は、ご夫妻がお亡くな りになるまで自宅に住まい続けること ができます。リバース・モーゲージによる資金調達の使途は、老人ホーム の入居費用に充てることも、ご夫妻で世界一周クルーズ費用に充てることも自由です。また、次のような利用方法もあります。例えば36歳で4,000万円の住宅 ローンを組み、毎月106,058円の返済をしてこられた方が繰上返済を一度もせずに65歳を迎えたとすると、 住宅ローンの借入残高はおよそ750万円(※4)となります。定年を迎えた老 後の71歳まで11万円弱の返済を続けることは少し困難かも知れません。そこで、リバース・モーゲージを利用して750万円を調達し、住宅ローンを全額繰上返済します。すると、元利金で毎 月106,058円の返済が利息のみの支払いに変わり、毎月18,750円(※5)になります。これであれば、仮に年金からでも捻出できるのではないのでしょうか。
このように老後のための資産形成としてマイホーム購入を考える時代に入ったと私は考えています。このリバース・モーゲージは、老後の利用す る時点で銀行が査定する不動産の 評価でリバース・モーゲージそのもの の利用の可否や利用可能額が決まります。新築で購入したマンション、今 は最新の設備・デザインですが、30 年経過すれば築30年のマンションで す。今の法律ですと建て替えも容易ではないでしょう。一方、一戸建て住 宅も30年経過すれば建物の価値は0 円です。しかし、地面は減価償却しませんので銀行は〝土地〟という資産がしっかり残ると考えているのです。このようにリバース・モーゲージを利用する際に、そもそもマンションは不可としたり、利用できても少額になってしまうのはこのためです。
あとがき今回の比較は、〝お金〟にスポットを当てた話しです。お金以外で考えればマンションならではの良いところもあります。例えば、溝口駅駅徒 歩5分で専有面積73.60㎡~80.08㎡の新築マンションが5,980万円~7,980万円と価格はかなり上がってしまいますが、ここまで駅至近の条件だと 一戸建て住宅ではまず実現できることは少ないでしょう。また、コンシェルジュでのサービスやマンションならではの共用施設などもメリットのひとつで す。マイホームの購入は、最終的には購入される方の価値観だと思っていますが、お金を扱うファイナンシャルプランナーの私としては、返済を終えた 後も続く重い管理費・修繕積立金等のランニング・コストのことや老後のことを考えた資産形成の面で一戸建て住宅に分があると思っています。