不動産の売買は、登記簿謄本で権利関連を確認しながらおこないます。
登記簿謄本は大事な書類ではありますが、普段は目にすることが少ないため、見てもよく分からない方もいるでしょう。
登記簿謄本は様式に特徴がありますが、その内容は最低限読めるようになっておくべきです。
この記事では、登記簿謄本とは何かや、4部構成の内容、アンダーラインの意味をご紹介します。
\お気軽にご相談ください!/
弊社へのお問い合わせはこちら不動産の登記簿謄本とは?見方についても解説
登記簿謄本とは不動産の登記簿を出力した紙であり、法務局の印鑑がしっかり押された証明書になります。
不動産登記は土地や建物の権利関連を残すための制度です。
不動産登記をすると、対抗力、権利推定力、形式的確定力の効力が生じます。
土地の面積や場所、誰が所有しているのか、担保権者などが記録されます。
データとして記録をおこない公開することで、不動産の取引が安全にできるようになっています。
なお、登記簿謄本は登記事項証明書と呼ばれることもあり、内容は同じです。
登記簿の対抗力とは
第三者に対して、登記された権利を主張できる力です。
知らない方から、ここは私の土地だと主張されても、登記された所有者が所有権を主張できます。
登記簿の権利推定力とは
登記された情報が正しいものであると推定されることです。
不動産売却で所有権転登記をする場合、法務局の登記官は内容のチェックをおこない、問題がなければ所有権の名義人変更の登記がおこなわれます。
適法に登記された情報は、違うことが証明されない限り正しい情報とされます。
登記簿の形式的確定力とは
登記がおこなわれるとその情報の正誤に関係なく、登記された情報を無視して、その後の登記はできない力のことです。
なかには書類を偽造などして、勝手に不動産の所有権を変更する登記を申請します。
万が一その審査が通った場合、この登記は偽造のため実際は無効な情報ですが、間違っている不動産の所有者を戻す必要があります。
間違った情報であっても無視はできない状態です。
登記簿謄本の取得方法
法務局の窓口や郵送、オンラインによって交付請求する方法があります。
法務局の窓口受付時間は8:30〜17:15平日のみです。
「交付請求書」に必要事項を記入し窓口に提出すると、登記簿謄本が発行されます。
所定の収入印紙を購入して納めなければいけません。
手数料は1通600円です。
オンラインによる交付請求では、インターネットで交付申請をします。
交付申請をおこない、登記簿謄本を自宅で郵送にするか、法務局の窓口へ受け取りにいくか選択が可能です。
郵送受取の場合は1通500円、窓口受取の場合は1通480円になります。
郵送による交付請求は、法務局に郵送で交付請求をおこない、郵送で受け取ります。
こちらの方法はインターネットから用紙を印刷して、必要事項を記入し、書類に収入印紙を貼ってください。
交付申請書と返信用の封筒に切手を貼り、同封して法務局へ郵送します。
手数料は1通600円です。
インターネットの登記情報提供サービスを利用する方法は、登記簿謄本は取得ができず閲覧のみになります。
プリントアウトは可能ですが、法務局の印鑑がないため証明する力はありません。
登記簿謄本が4部構成になっている理由
登記簿謄本は4部構成になっており、「表題部」、「権利部(甲部)」、「権利部(乙部)」、「共同担保目録」になっています。
表題部の見方
土地と建物の場合で表記内容が異なります。
土地の場合、所在には土地の場所が市町村字まで、地番は土地の地番(不動産登記に付与される番号)が記されています。
所在と地番を合わせると正確な所在地です。
地目は土地の用途や種類のことであり、宅地や田、畑、山林、雑種地などがあります。
地積は土地の面積になり、登記の日付は登記された日付と理由です。
理由が不明な場合は、「不詳」と表記されます。
建物の場合、所在欄には市町村字および番地まで表記され、家屋番号は建物の家屋番号(不動産登記時に法務局から建物に付与される番号)が表記されます。
種類には建物の種類が表記され、居宅、事務所、店舗、倉庫、共同住宅などの表記になります。
構造は建物の構造が表記され、構成材料と屋根の種類と階層の表記です。
構成材料は木造、鉄骨造、鉄骨鉄筋コンクリート造、コンクリートブロック造などと表記され、屋根の種類はスレートぶき、陸屋根などと表記されます。
床面積には建物の床面積が表記され、登記の日付には、登記日と理由が表記されます。
権利部(甲部)の見方
順位番号には登記の順番が表記され、登記の目的は所有権が登記された目的が表記されます。
受付年月日・受付番号は所有権に関連した、登記の受付年月日と番号が表記され、権利者その他の事項は、所有者の住所、氏名や理由の表記欄です。
所有権保存登記の場合、理由としては表示されません。
権利部(乙部)の見方
順位番号は登記された順番です。
登記の目的欄は所有権以外の権利になり、どんな登記が過去にあったのか知ることができます。
住宅ローンを組むと、万が一返済が滞ったときに競売にかけて債権の回収を図るため、一般的に金融機関の抵当権が設定されます。
受付年月日・受付番号欄は所有権以外で、権利に関連した登記受付の年月日と番号です。
権利者その他の事項は、所有権以外の権利に関連した内容や、権利者の氏名などが表記されます。
なお、不動産売買時にはこの抵当権を抹消しないと売却ができません。
共同担保目録の見方
共同担保目録とは、抵当権を設定したとき、担保として提供した不動産が複数ある場合に、まとめて表記する欄です。
権利部(乙部)の抵当権とセットで参照します。
不動産の登記簿謄本に表記された情報のアンダーラインの意味
登記簿謄本を確認したとき、文字の下にアンダーラインが引かれている場合のその意味は、その情報を抹消したという意味になります。
つまり、現在有効ではない権利ということです。
アンダーラインが引かれている例についてご紹介いたします。
登記簿の甲部のアンダーラインが引かれている例
甲部は不動産の所有者が誰かを示す場所です。
不動産売買や相続ではアンダーラインが引かれることはなく、1行追加されて新しい所有者が明記されます。
所有者が引っ越しや名字が変わった際に、アンダーラインが引かれます。
登記簿の乙部でアンダーラインが引かれている例
乙部は所有権以外の権利の情報、たとえば先ほど紹介した抵当権の情報が表記されますが、住宅ローンが完済されると抵当権は抹消でき、アンダーラインが引かれます。
新たな所有者が住宅ローンを組んだ場合は、1行追加され新規の抵当権が表記されます。
アンダーラインが引かれていない登記情報
登記簿謄本は所有者が多数いる場合やマンションの土地、複雑な利権関連の建物など、一目見て難しいと思うかもしれません。
アンダーラインが多数引かれ、抹消がたくさんある登記簿謄本は見にくいため、現在事項証明書や要約書を確認してみると読み取りやすくなります。
現在事項証明書や要約書とは、抹消されている登記情報は削除され、有効な登記情報のみが表記されている登記です。
まとめ
いかがでしょうか、不動産に重要な登記簿謄本の見方は土地と建物で項目が変わってきます。
登記簿謄本の情報は、基本情報がわかるようになったほうが良いでしょう。
アンダーラインが多い登記簿謄本は見にくいと思った場合は、現在事項証明書や要約書での確認をおすすめします。
\お気軽にご相談ください!/
弊社へのお問い合わせはこちら