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近年、新築マンションの価格は高騰し続けていて、なかなか手が出せない状況にあるなか、中古マンションに注目が集まっています。
ただその中古マンションを買うときに心配なのが、ローンを組めるのか、そして住宅ローン控除が受けられるのかといった点です。
中古物件はローンに通りにくいとされますが、ではなぜ通りにくいのかその理由について解説していきます。
旧耐震基準の中古マンションはなぜローンが通りにくいのか
新築・中古を問わずマンションを買うときには、ローンは利用できるうえ、中古物件だからといって金利が高くなる心配もありません。
さらに物件が中古であればリフォームやリノベーションを施すケースもあり、そのときの費用も借入額と合算してローンが組める場合もあります。
ただ注意点として手付金は売買契約時に支払うもののため、これは借入額としては認められないうえ、買主の都合による契約破棄の場合、手付金は戻ってきません。
ただ中古物件の場合、新築にはない融資条件があり、その条件によっては審査が通りにくいケースも発生するため、その点は注意が必要です。
その融資条件としてまずは返済期間についてですが、場合によってはその返済期間が変わってくるケースがあり、そこに関わってくるのが建物の耐用年数です。
返済期間は基本的には35年で設定されますが、一部の金融機関では法定耐用年数である47年から築年数を差し引いた期間以上での借り入れができません。
つまり築25年の物件であれば、法定耐用年数47年からその築年数の25年を引いた22年、これが最長の返済期間として設定されるわけなのです。
次に借入額についても制限される場合があり、これは中古物件は担保としての価値が低くなるためで、こちらも金融機関によってはその担保価値に合わせた借入額となります。
また実際にローンを組むときに、フラット35にするケースがありますが、これを利用する際は融資条件となっている技術基準を満たしていなければいけません。
この技術基準としてもっとも重視されるのが耐震評価基準で、現在の基準になったのが昭和56年6月1日であるためそれ以降の物件であればフラット35が利用できます。
もし購入予定の物件がそれ以前に建てられたものであれば旧耐震基準となりフラット35の利用は難しい一方、ほかの民間金融機関であれば借り入れは可能です。
新耐震基準と旧耐震基準との違いですが、震度5強程度では、倒壊の心配はなく、損傷も補修できるレベルとされる旧基準に対し新基準は損傷しないレベルとされます。
震度6〜7の大規模地震になると、新基準では損傷はほとんど見られず、倒壊の恐れもないとされますが、旧基準には規定すらありません。
この新耐震基準に適合した新築の場合、住宅ローン控除により税金面で優遇措置が取られますが、中古物件であっても条件を満たせばこの制度は利用できます。
その条件としては床面積が50㎡以上でその半分以上が居住用である、築年数が25年以内か25年を超える場合でも耐震基準適合証明を受けているといったものになります。
中古マンションの場合、たとえ新耐震基準に適合していても、昭和56年12月31日以前の旧耐震基準下で建てられたものとみなされ、耐震基準適合証明書が必要となります。
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再建築不可の中古マンションを購入するときにローンが通りにくいのはなぜか
不動産物件のなかには再建築不可とされているものがあり、その物件の購入時に借り入れをする場合、一般的に審査は通りにくいとされます。
ではまず、その再建築不可物件についてですが、これは今建っている建物を壊して更地にしても、新たに建物を建てられない土地を指します。
人が多く集まり街が形成される区域は都市計画区域、準都市計画区域となっていて、そこに建物を建てるときは、建築基準法にある接道義務を満たす必要があるわけです。
この接道義務は、その建物が接する道路は幅が4m以上であり、さらに間口がその道路に2m以上接していなければならないといったものを言います。
住民が多く集まる区域ではその住民の安全を守るため、緊急車両がスムーズにとおれるよう、道幅を確保する必要があり、建築基準法によりこの条件が設定されました。
建築基準法が制定されたのが昭和25年、都市計画法ができたのが昭和43年となるため、それ以前の建物は接道義務を果たしていないものがあるのです。
こうして再建築不可物件が生まれたわけですが、たとえば東京23区で言えば、この接道義務を果たしていない物件は全体の5%となっています。
この再建築不可物件の問題点として、地震や火事などの災害により建物が倒壊・消失した場合に、新たに新築として再建築できないといったものがあります。
次に更地にしたとしても、接道義務を果たしていないためそこを住宅地にもできず、道が狭く車の入出庫に問題があり駐車場にも適さないわけです。
つまり、相場よりも売却価格は低くなるうえ、流動性も低く、出口戦略の見えない物件として金融機関としては手を出しにくい、つまりローンが通りにくい物件と言えるのです。
また再建築不可の物件は今の建築基準法が制定される前の建物のため、建物自体が古く、その安全性に問題があるとされ、これもローンが通りにくい条件の一つとなります。
ほかにもリフォームやリノベーションを繰り返した結果、建ぺい率をオーバーしているものもあり、これも建築基準法から逸れた物件としてローンの利用はできません。
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借地権付きの中古マンションがローンに通りにくいその理由とは
借地権付きの物件を購入する際、ローンが通りにくいとされていますが、この借地権とは土地の持ち主からその土地を借りる権利を指します。
この借地権には大きくわけて2つあり、まず旧法である借地法では契約期間は30年、更新後は20年となり、借地人の権利が強く守られているのが特徴です。
そして平成4年8月に施行された借地借家法では、住宅に関してのものとして普通借地権と定期借地権、建物譲渡特約付借地権が設けられています。
まず普通借地権は存続期間は建物の構造に関わらず当初は30年、その後合意を前提とした更新であれば1回目が20年、それ以降は10年と更新すれば半永久的に借りられます。
次の定期借地権は、一戸建てやマンションと併せて土地を貸し出すもので、契約期間は50年以上とされ、普通借地権と違い更新はありません。
そして建物譲渡特約付借地権ですが、こちらは契約期間が30年以上となり、その契約期間が終われば地主がそこに建っている建物を買い取る仕組みになっています。
これらの借地権の特徴として、まずその土地に建物を建てた場合、その建物の権利は土地を借りた側にありますが、土地の権利は地主にあるという点が挙げられます。
次に土地を借りた借地人は、地主に対してその地代を支払う義務があるという点、さらにその土地に建てた建物を地主の許可のないまま売却はできません。
また建て替えをする際も、あらかじめ地主に連絡が必要となり、最終的には契約期間の満了をもって、更地にしたうえで地主に返還となります。
このように借地の場合、借地人とすれば購入した土地と比べ、土地や建物に関しての自由度が低くなるといったデメリットが生じるわけです。
そして金融機関から見ても、そういった制限のある土地のため自己所有の土地よりも、担保価値として見れば、低い評価にせざるを得ないといった事情があります。
こういった借地権付きの物件を購入する際に、土地を担保にローンを組むのであれば、地主の許可が必要となるため、まずは金融機関に相談するのが良いでしょう。
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まとめ
中古マンションのニーズは高い水準で保たれていて、市場にも多くの物件が出回っています。
ただローンを組む際は、新築と同じ条件での融資は期待できないと思ってください。
なぜ中古物件は審査が通りにくいのか、その理由を知っておくと資金計画も立てやすくなり、マイホームの購入の夢に一歩近づけるでしょう。
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株式会社LIFE HOME スタッフブログ編集部
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